Fuzz Faceは良質なブースター。

Fuzz Faceについて追記。

 

「ファズ」と聞くと荒々しく、歪みが強い印象を持たれるかと想像します。自分もそうです。

Fuzz Face自体も、「Fuzz」つまみを高く設定すれば、独特な鼻つまみ音の強い歪みが特徴的なペダルです。

 

一方で、一般的にギターのボリュームに対する追従性、変化が強い特徴も持っています。ボリューム最大では激しい歪み、5~8辺りはクランチ、2~4はクリーン、というように、ギターのボリュームをボリュームではなく「ゲイン」のように変化させる特徴があります。

 

さて、Fuzz Faceの回路ですが、最終段、2段目のTrのコレクタ部ですが、330Ω(470Ω)と8.2kΩをコレクタ抵抗とし、その間から出力する回路構成になっています。

電源から見ると(電源をGNDだと思ってみると)、分圧比が低く、出力部のDC電位はほぼ電源電圧である、という構成です。

 

AC的にこれが何を意味するかと言うと、片極に極端に寄ったバイアス構成のように働きます。Sin波の入力に対して、片方の電源電位範囲が低いため(分圧によって)、片方が積極的にカットされた、いびつな波形形状になります。まぁ、それが激しい歪みを生むのですが。

この「波形のいびつ」は最終段に始まったことではなく、まず初段でそうなります。初段TrのエミッタがGND接続であるため、「電圧増幅回路」というより「スイッチング回路」です。

 

自分は以前から、この最終段の極端な分圧比を毛嫌いしていました。「なんで敢えて落としちゃうかな」みたいに。想像する理由としては、例えば分圧せずにそのままアンプに入力すると、とんでもない音量になるから、、、かと思っています。Fuzz Face自体にボリュームがついているので、もちろん調節が可能ですが、その感度が敏感過ぎるようになるイメージです。

 

この間作って、最近音を出しながらいじっていると、次のような発見?があったので、記載しておきます。

 

まずTrをシリコンにするかゲルマにするか、ですが、基本的に「どっちの音質が好きか」に寄ると思いました。材質の差以外に、

・帯域の違い(シリコン>ゲルマ)

・ゲイン:hfeの違い(シリコン>ゲルマ)

・安定性の違い(シリコン>ゲルマ)

があり、これが音質に関係していると思っています。

特に帯域の違いは結構重要で、他にもいろんな要因が関係していると思いますが、シリコンの方がカリっとした高域が出て、ゲルマは良く言えば温かい、悪く言えばこもった感じになります。歪みもシリコンの方が激しいです。

 

次に、題名のように、Fuzz Faceはなかなか良質なブースターとして使うことが出来そうです。Fuzz Faceのボリュームは最大で、ノイズがうるさくない程度まで、Fuzzを最大から少し下げた位置に設定します。

 

Fuzz Faceの後ろに、オーバードライブのペダルを繋ぎます。強く弾くと歪む程度のゲインに設定します。アンプをクランチ設定にしても似たような状態かと思います。で、Fuzz Faceを踏みます。ギターボリュームが最大の場合、Fuzz Face的な激しい歪み音が出ます。リード用のイメージです。

ここから、ギターボリュームを下げていくと、音量以上に歪み量が下がっていき、オーバードライブで設定したクランチより、ちょっと歪んだ音になります。

さらに下げていくと、ほぼオーバードライブで設定したクランチになり、さらに下げると、およそクリーンまで行きます。

 

一般的に言われているように、上記の使い方はなかなか便利です。ギターボリュームで歪み量を調整でき、使えるクリーンまで行ける点です。

 

さて、この使い方で大切な点は、個人的には「オーバードライブの選定」にあると感じています。まず元々の音が好きで、Fuzz Faceでプッシュした時の音が好きなオーバードライブが必要です。おすすめはTS808、TS9、Timmy、Jan Rayなど。試した感じだと、元々の音が好きであれば、プッシュ後の音もそんなに嫌いじゃないと思います。

 

この使い方の場合、Fuzz Faceは「ファズ」というより、「気に入っているオーバードライブをプッシュするブースター」に近くなります。Fuzz FaceのFuzz つまみの設定によって、ギターボリューム最大時の音色を決める感じです。

 

 

Fuzz Faceを持っている場合、一度試してみることをオススメします。